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優越的地位の濫用に対する対処法

2020/06/10 18:00
この記事の監修者
道下 剣志郎
道下 剣志郎
SAKURA法律事務所 弁護士(第一東京弁護士会)
宮本 武明
宮本 武明
SAKURA法律事務所 弁護士(第二東京弁護士会)

1 優越的地位の濫用

独占禁止法は、取引上優越した地位にある事業者が、その地位を利用して、取引の相手方に対し、正常な商慣習に照らして不当に不利益を与えることを禁止しています。これを、「優越的地位の濫用」といいます。

優越的地位の濫用について定めた独占禁止法第2条第9項第5号の規定は、次のとおりです。

◆独占禁止法第2条

9 この法律において「不公正な取引方法」とは、次の各号のいずれかに該当する行為をいう。

五 自己の取引上の地位が相手方に優越していることを利用して、正常な商慣習に照らして不当に、次のいずれかに該当する行為をすること。

イ 継続して取引する相手方(新たに継続して取引しようとする相手方を含む。ロにおいて同じ。)に対して、当該取引に係る商品又は役務以外の商品又は役務を購入させること。

ロ 継続して取引する相手方に対して、自己のために金銭、役務その他の経済上の利益を提供させること。

ハ 取引の相手方からの取引に係る商品の受領を拒み、取引の相手方から取引に係る商品を受領した後当該商品を当該取引の相手方に引き取らせ、取引の相手方に対して取引の対価の支払を遅らせ、若しくはその額を減じ、その他取引の相手方に不利益となるように取引の条件を設定し、若しくは変更し、又は取引を実施すること。

そして、公正取引委員会は、独占禁止法第2条第9項第5号に該当する優越的地位の濫用であって、一定の条件を満たすものについて、警告、注意をするだけでなく、排除措置命令や課徴金の支払命令を出すことができます。

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2 優越的地位の濫用の具体例

優越的地位の濫用規制上問題となり得る具体例としては、下記のようなものがあります。

(1)取引対価の一方的決定

ア 自己の予算単価のみを基準として、一方的に通常の価格より著しく低い又は著しく高い単価を定めること。

イ 原材料等の値上がりや部品の品質改良等に伴う研究開発費の増加、環境規制への対策などにより、取引の相手方のコストが大幅に増加したにもかかわらず、従来の単価と同一の単価を一方的に定めること。

ウ 一部の取引の相手方と協議して決めた単価若しくは不合理な基準で算定した単価を他の取引の相手方との単価改定に用いること、又は取引の相手方のコスト減少を理由としない定期的な単価改定を行うことにより、一律に一定比率で単価を引き下げ若しくは引き上げて、一方的に通常の価格より著しく低い若しくは著しく高い単価を定めること。

エ セールに供する商品について、取引先納入業者と協議することなく、取引先納入業者の仕入価格を下回る納入価格を定め、その価格で納入するよう一方的に指示して、自己の通常の納入価格に比べて著しく低い価格をもって納入させること。

オ ある店舗の新規オープンセールを行う場合に、当該店舗への納入価格のみならず、自己が全国展開している全店舗への納入価格についても、著しく低い納入価格を一方的に定めること。

(2)購入・利用強制

取引関係に影響を及ぼし得る仕入担当者が取引先納入業者に対し、季節商品等の購入を要請すること。

(3)協賛金等の負担の要請

セールを行うに際し、取引先納入業者に対し、算出根拠、使途等を明確にすることなく、協賛金の負担を要請すること。

(4)従業員等の派遣の要請

店舗の新規オープン等に際し、取引先納入業者に対し、当該納入業者が納入した商品であるか否かを問わず、商品陳列作業を行わせるため、納入業者が従業員を派遣するために通常必要となる費用を負担することなく、従業員等の派遣を要請すること。

(5)返品

取引先納入業者に対し、売れ残った商品について、事前に返品条件を定めることなく、また、返品によって取引先納入業者に通常生ずべき損失を負担することなく、返品を要請すること。

3 優越的地位の濫用に対する対処法について

2で挙げたような具体例に当たるようなケースでは、優越的地位の濫用に該当する可能性があると考えられます。

取引先の企業から、優越的地位の濫用に該当するような行為を受けた場合は、当該要求は独占禁止法に抵触する違法行為である旨通知し、当該要求を即刻止めるよう請求すべきです。

また、独占禁止法は専門性の高い領域になりますので、弁護士や公正取引委員会に相談し、法的助言を受けることも重要であるといえます。

この記事の監修者
道下 剣志郎
道下 剣志郎 SAKURA法律事務所 弁護士(第一東京弁護士会)
一橋大学法学部法律学科卒業。慶應義塾大学法科大学院法務研究科卒業。日本最大の法律事務所である西村あさひ法律事務所に勤務後、SAKURA法律事務所開業。会社法・金商法をはじめとする企業法務全般を手掛け、国内外のM&A、企業間の訴訟案件、危機管理案件、コーポレート・ガバナンス、株主総会対応等、幅広い案件を取り扱う。
宮本 武明
宮本 武明 SAKURA法律事務所 弁護士(第二東京弁護士会)
慶應義塾大学法学部法律学科卒業。慶應義塾大学法科大学院法務研究科卒業。4大法律事務所の1つであるアンダーソン・毛利・友常法律事務所に勤務後、SAKURA法律事務所開業。広くファイナンス分野を業務分野とし、資産運用会社への出向経験を活かして、上場支援、コンプライアンス関連業務、M&A、コーポレート・ガバナンス等の案件に従事するほか、訴訟案件や一般企業法務案件も担当する。
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