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会計検査院の検査について

2020/06/10 18:00
この記事の監修者
道下 剣志郎
道下 剣志郎
SAKURA法律事務所 弁護士(第一東京弁護士会)
宮本 武明
宮本 武明
SAKURA法律事務所 弁護士(第二東京弁護士会)

1 会計検査院の調査が入った場合

民間の会社であるにも関わらず、国の会計等を調査する機関である会計検査院が調査に入ることがあります。

会計検査院とは、国、県、市町村、特殊法人などの会計を定期的に検査し、会計経理が正しく行われるように監督する機関です。わかりやすく言うと、役所を調査する役所です。その調査で不正等が発見されれば、役所にペナルティが課されます。

民間の会社であっても、市町村等から工事を請け負ったり、国の機関と取引したりしている企業は、その契約関係についての会計は会計検査院の検査を受ける必要があります。

この検査は、法的義務ではありますが、拒絶してもペナルティを課されることはありません。もっとも、検査の結果、国等の機関に違法行為が発覚した場合は刑事手続に進み得るものなので、誠実に応対することが望まれます。

2 会計検査院は憲法上の機関

会計検査院は、日本の最高法規たる憲法によって認められた機関です。

憲法第90条によると、「国の収入支出の決算は、すべて毎年会計検査院がこれを検査し、内閣は、次の年度に、その検査報告とともに、これを国会に提出しなければならない」ことになっています。

会社法上の大会社等は、法令や規則に従った正しい会計処理を行っているかどうかを監査法人に調査してもらい、結果をステークホルダーに報告することになっているところ、国についても同様の調査が必要です。そこで、国にとっての監査法人のような役割を担うのが会計検査院です。

会計検査院は、行政の機関ではありますが、行政のトップである内閣総理大臣のもとに従属しているわけではありません。内閣総理大臣のもとに従属させると、癒着によって中立の立場で検査することができないとの発想があるからです。もっとも、立法とも司法とも異なり、全ての国家機関に対して調査権のある独立した機関となっています。

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3 会計検査院の検査対象

国、国が資本金の2分の1以上を出資している法人(日本銀行等)及びNHKの会計については、当然にすべて会計検査院による検査対象となっています。

これらに加えて、会計検査院法によれば、会計検査院が必要と認めるときには、次の機関の会計も検査できることになっています。

  • 国が直接または間接に補助金、奨励金、助成金等を交付しまたは貸付金、損失補償等の財政援助を与えているものの会計
    ⇒都道府県、市町村等がこれにあたります。 
  • 国が資本金の一部(2分の1未満)を出資しているものの会計 
    ⇒首都高速道路株式会社、阪神国際港湾株式会社等がこれにあたります。
  • 国が資本金を出資したものがさらに出資しているものの会計
    ⇒株式会社かんぽ生命保険、東京電力ホールディングス株式会社等がこれにあたります。
  • 国が借入金の元金や利子の支払いを保証しているものの会計
    ⇒一般財団法人民間都市開発推進機構、独立行政法人農業者年金基金等がこれにあたります。
  • 国等の工事その他の役務の請負人若しくは事務若しくは業務の受託者又は国等に対する物品の納入者のその契約に関する会計
    ⇒これにより、民間企業も検査の対象となり得ます。

4 会計検査院の検査

会計検査院法によれば、会計検査院は、検査を受けるものに対し、帳簿、書類その他の資料もしくは報告の提出を求めたり、関係者に質問したり、出頭を求めたりすることができます。また、必要な場合には、会計検査院の職員を派遣して実地検査をすることも可能となっています。

前述したとおり、会計検査院の調査が入った場合、これに応じることは会計検査院法上の義務となっています。

もっとも、会計検査院は警察のように捜査権をもっているわけではなく、これに応じなかったとしても罰則はございません。

会計検査院の調査には、誠実に応じることが望ましいですが、調査に不審な点があった場合等は、法的根拠を求める等、時には毅然とした対応が必要と言えるでしょう。

この記事の監修者
道下 剣志郎
道下 剣志郎 SAKURA法律事務所 弁護士(第一東京弁護士会)
一橋大学法学部法律学科卒業。慶應義塾大学法科大学院法務研究科卒業。日本最大の法律事務所である西村あさひ法律事務所に勤務後、SAKURA法律事務所開業。会社法・金商法をはじめとする企業法務全般を手掛け、国内外のM&A、企業間の訴訟案件、危機管理案件、コーポレート・ガバナンス、株主総会対応等、幅広い案件を取り扱う。
宮本 武明
宮本 武明 SAKURA法律事務所 弁護士(第二東京弁護士会)
慶應義塾大学法学部法律学科卒業。慶應義塾大学法科大学院法務研究科卒業。4大法律事務所の1つであるアンダーソン・毛利・友常法律事務所に勤務後、SAKURA法律事務所開業。広くファイナンス分野を業務分野とし、資産運用会社への出向経験を活かして、上場支援、コンプライアンス関連業務、M&A、コーポレート・ガバナンス等の案件に従事するほか、訴訟案件や一般企業法務案件も担当する。
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