会員種別と議決権について

法令調査・リーガルオピニオン
2022/05/02 14:30
一般社団法人の定時社員総会の開催にあたり、会則で定めている議決権を持つ会員にのみ出席をお願いしたところ、【準会員(議決権なし)】の方から「法律上、準会員にも定時社員総会に参加する権利がある」と意見が上がりました。 この準会員とは、定款にある<法人の構成員>としての項目に当てはまらず、会則の[第5条 会員]では議決権はないと定められています。 法律を元に定款を作成し法務局に提出していますし、定款という大枠の中で会則を定め、その通りに定時社員総会の招集を行っているとの認識なのですが、法律上問題はあるでしょうか。 会員の皆様とは共通認識の下に会を運営していきたいと思っておりますが、理事になったばかりで右も左も分からず、こちらに相談させていただきました。
弁護士とのやりとり
  • 北村 勇人 弁護士
    三浦法律事務所
    2022/05/02 14:39
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    ご相談ありがとうございます。 定款、その他の組織内規程等の個別事情を検討してみる必要性はございますが、基本的に、一般社団・財団法人法上の社員には社員総会に出席する権限が認められます。 貴法人の「準会員」が一般社団・財団法人法上の社員に該当するかどうかがポイントになってこようかと存じます。
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  • 相談者
    2022/05/03 05:38
    回答していただきありがとうございます。 本会の定款には以下のような記載がございます。(法人を特定できる語彙を一部変えております。分かりづらく申し訳ありません。) ------- 第3章 会員 (法人の構成員) 第5条 この法人の事業に賛同し業務を行う者であって、次条の規定によりこの法人の会員となったものをもって構成する。 2 前項の業務を行う者とは、次の者をいう。 (1)〇〇の規定により認められた医業類似行為を行う者。 (2)厚生省医務局通知における療法において、医業類似行為を行う者。 3 前々項の会員をもって一般社団法人及び一般財団法人に関する法律上の社員とする。 ------- 定款には「準会員」の説明や定義はなく、会則には「正会員の持つ認定証を持たず、総会での議決権を持たない。」との記載があります。 この場合、会の運営上「準会員」として会費を納め参加してくださっていた会員は、法上の社員には該当しないということになりますでしょうか。
  • 北村 勇人 弁護士
    三浦法律事務所
    2022/05/03 06:31
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    5条3項では「前々項の会員をもって一般社団法人及び一般財団法人に関する法律上の社員とする。」と規定され、5条1項では「この法人の事業に賛同し業務を行う者であって、次条の規定によりこの法人の会員となったものをもって構成する。」と規定されています。 そのため、6条でどのように規定されているかをご確認いただき、「準会員」が「次条(注:6条の規定によりこの法人の会員となったもの」ではない、といえるのであれば、準会員は一般社団・財団法人法上貴法人の社員ではない、と整理することができるかと存じます。 定款に「準会員」の説明や定義をご記載いただいていないとのことで、少し一般的ではない立て付けをされているようにもお見受けいたしましたので、最終的には、定款のみならず、貴法人の各種会則等も踏まえてご検討いただくのが望ましいと考えております。 以上頂いた情報限りでご回答いたしました。 なお、当職は一般社団・財団法人、会社法などのコーポレート分野を専門としており、メディカル・ヘルスケア分野にも精通しておりますので、また何かございましたらご遠慮なく個別にご連絡いただければと存じます(弁護士費用等もその際に明確にご説明いたします。)。 以上よろしくお願いいたします。
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  • 相談者
    2022/05/03 09:51
    分かりやすく回答してくださってありがとうございます。 定款の第6条では、 「この法人の会員になろうとする者は、理事会の定めるところにより申し込みをし、その承認を受けなければならない。」とあります。 それを受けて、会則では 「第2条 入会 本会の会員になろうとする者は、本会の定款及び理事会が定める規則に同意したうえで、本会則に定める書式にて入会申込書を作成し、これを理事会に提出しなければならない。 第3条 入会の許可 第2条による入会の申し込みを受けた理事会は、入会を希望する者が定款第5条に定める資格を満たすと認めるときは、すみやかにその入会を認めなければならない。但し、定款第5条に定める資格を有しない場合であっても、学術技能の研鑽に努める目的で入会を希望する者にあたっては、理事会において入会を判断するものとする。」と記載されています。 それを踏まえて、会則では正会員・名誉会員・準会員・一時退会者と種類を置き、正会員と名誉会員に議決権を付与し、その他の会員には議決を付与しておりません。会員の種別をより明確にするべきなのですが、現行では議決権のあるなしで法上の社員であるかどうかを解釈している状態です。この場合、議決権のある会員が法上の社員であり、議決権のない会員は法上の社員ではないという理事会の判断は、正しいでしょうか。 今後は定款と会則のねじれを解消していく必要があると痛感しております。定款上で、社員総会はどんな会員をもって構成されるのか、そして会則ではどの会員が法上の社員なのか明記し、混乱がないよう努めます。
  • 北村 勇人 弁護士
    三浦法律事務所
    2022/05/03 13:40
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    丁寧にご説明いただきましてありがとうございます。 なるほど、そういった状況なのですね。 率直ベースで申し上げますと、上記のような理事会限りでの判断・ご整理が法的に問題ない(法的リスクがない)とまではいい難いように思われます。 といいますのも、(上記伺った情報限りからの所感ではあるものの)貴法人の「準会員」が貴法人の社員たる「会員」に該当しないと当然には整理できないからです。 具体的なリスクの程度等につきましては、実際にお受けしたうえで個別具体的検討や他社事例や裁判例のリサーチをしてみない限り、定かには申し上げられませんが、今後のご対応の基本線としては、定款その他の貴法人規程を改訂していただき、貴法人の社員たる「会員」の範囲を明確にしていただく必要があろうかと存じます。 これまで社団・財団の顧問含め社団・財団法人案件を相応に対応してまいりましたが、社員の範囲を定款その他の規程上一義的明らかに規定しておられないケースはあまり目にしたことがございませんので、まずはその点ご対応いただくのがよろしいかと存じます。 なお、あくまで一般論ではございますが、実体法上、社員に該当する者を、社員として取り扱わず、社員総会への出席等を認めていない場合には、社員総会決議の瑕疵として、決議の取消事由になる可能性もございますので、慎重にご検討・ご対応いただくのが望ましいと考えております。
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  • 相談者
    2022/05/04 03:57
    大変勉強になります。 こちらと並行して、別のところにも同様の相談をしたところ(定款を全文お見せしました)、 「準会員は、定款第5条の要件を満たしていないため、法上の社員ではない」 との回答をいただきました。 また北村様ご指摘の通り、定款と会則での「会員」の定義があいまいであったために起こった混乱であり、是正する必要があるとアドバイスを頂きました。 昨日、他の理事が資料を見つけて、社団法人から一般社団法人に移行する際に、行政書士様から頂いたアドバイス通りに定款の変更をしていなかったことが分かりました。 何年もあやふやなまま法人として運営してきたようです。今回のような認識の相違が起きないよう、こちらでご教授いただいたことを理事会で共有し、会の目的と理念がぶれないように改善してまいります。 長々と相談にのっていただきまして、ありがとうございました。 やっとゆっくりぐっすり寝れます。
  • 北村 勇人 弁護士
    三浦法律事務所
    2022/05/04 05:55
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    ご連絡ありがとうございます。 ご回答者の方が上記のとおり断定されている根拠等は、当職には(少なくとも伺っている情報限りからでは)分かりかねるのですが、貴法人としてご懸念が解消されたのであればよかったです。 大変お疲れ様でございました。
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