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購入した商品が不良品であった場合の対応策

2020/06/10 18:00
この記事の監修者
道下 剣志郎
道下 剣志郎
SAKURA法律事務所 弁護士(第一東京弁護士会)
宮本 武明
宮本 武明
SAKURA法律事務所 弁護士(第二東京弁護士会)

1 購入した商品が不良品であった場合

取引先から購入した商品に欠陥があった場合、会社としてどのように対応すれば分からないケースがあると思います。

このような問題について法的観点から考察すると、商品を購入した買主の通知義務が重要になります。通知を怠った買主は、商品を販売した売主から、商品が不良品であるにも関わらず、補償を受けられなくなる事態にもなりかねません。

このような事態を避けるべく、購入した商品が不良品であった場合の対応策について、理解しておくことが重要です。

2 商法上の通知義務について

契約当事者の双方が商人(=企業)間の売買に関して、商法第526条第1項は、「商人間の売買において、買主は、その売買の目的物を受領したときは、遅滞なく、その物を検査しなければならない。」と規定しています。

また、同法同条第2項は、「前項に規定する場合において、買主は、同項の規定による検査により売買の目的物に瑕疵があること又はその数量に不足があることを発見したときは、直ちに売主に対してその旨の通知を発しなければ、その瑕疵又は数量の不足を理由として契約の解除又は代金減額若しくは損害賠償の請求をすることができない。売買の目的物に直ちに発見することのできない瑕疵がある場合において、買主が六箇月以内にその瑕疵を発見したときも、同様とする。」と規定しています。この買主が売主に対して通知すべき内容は、欠陥の種類及び範囲を明らかにすることで足ります。なお、実務的に、この通知は、内容証明郵便によることが多いといえます。

そして、判例上、買主が上記期間内に商品の欠陥を発見できなければ、過失の有無を問わず、売主に対して、権利を行使できなくなると解されています(最三小判昭47.1.25判時662号85頁)。もっとも、同法同条第3項は「前項の規定は、売主がその瑕疵又は数量の不足につき悪意であった場合には、適用しない。」と規定しており、目的物の欠陥を売主が知っていた場合には、上記判例は適用されません。

なお、法第526条第1項及び第2項の裏返しから、契約当事者の一方又は双方が商人でない売買において、買主は、目的物の検査義務及び通知義務を負いません。

3 民法改正の内容について

2020年4月1日に施行された改正民法により、商品に不良品があった場合の買主の責任に関する規定は、「契約不適合責任」と名称が変更されました。

また、契約不適合責任は、数量不足の場合以外、商品の不適合を知った時から1年以内の権利行使が必要になります。

さらに、改正民法では、数量不足の権利行使の期間制限が、従来の1年間から5年間と変更されました。

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4 商人・企業が注意すべき点について

まず、上記商法526条は任意規定であり、契約自由の原則から、契約条項が優先して適用されます。そのため、当事者間の売買契約書の記載ぶりによっては、同条が適用されなくなるので、契約書の通知・検査に関する条項については、慎重に吟味する必要があるといえるでしょう。

具体的には、あなたが買主の立場であれば、検査時期、検査方法、検査義務の範囲等を明確に定めることが重要です。究極的には、商法第526条を適用しないと規定することも考えられます。

一方、あなたが売主の立場であれば、通知義務の期間を短縮することなどの工夫が考えられます。

5 まとめ

上記の通り、商法第526条は、買主に義務を課すものであり、売主にとっては有利な規定となっております。

買主としては、商法第526条の規定を意識して、自己に有利となるように、売買契約書のリーガルチェックを行うことが重要です。

一方、売主としては、商法第526条の保護をしっかり受けられる条項となっているかという観点から、売買契約書のリーガルチェックを行うことが重要です。

この点については、裁判例も多く出ているところですので、弁護士にリーガルアドバイスを求めることも有益といえるでしょう。

この記事の監修者
道下 剣志郎
道下 剣志郎 SAKURA法律事務所 弁護士(第一東京弁護士会)
一橋大学法学部法律学科卒業。慶應義塾大学法科大学院法務研究科卒業。日本最大の法律事務所である西村あさひ法律事務所に勤務後、SAKURA法律事務所開業。会社法・金商法をはじめとする企業法務全般を手掛け、国内外のM&A、企業間の訴訟案件、危機管理案件、コーポレート・ガバナンス、株主総会対応等、幅広い案件を取り扱う。
宮本 武明
宮本 武明 SAKURA法律事務所 弁護士(第二東京弁護士会)
慶應義塾大学法学部法律学科卒業。慶應義塾大学法科大学院法務研究科卒業。4大法律事務所の1つであるアンダーソン・毛利・友常法律事務所に勤務後、SAKURA法律事務所開業。広くファイナンス分野を業務分野とし、資産運用会社への出向経験を活かして、上場支援、コンプライアンス関連業務、M&A、コーポレート・ガバナンス等の案件に従事するほか、訴訟案件や一般企業法務案件も担当する。
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